クルマ買取の本質|クルマの買取価格は何によって変動するか

僕は自動車の流通業界で働いています。流通業界の中でも、具体的には「クルマの買取」が事業の一つです。

ある日友人との会話で思うことがあり「買取価格の本質」についてまとめてみます。

買取価格は何を基準に算出しているか

いきなり本題ですが、クルマの買取価格はそのクルマの「走行距離」と「年式」で算出しています。

買取価格を決める際、AAというオークション相場で買い取る車の走行距離と年式から「これくらいの値付けなら利益が出せそうだ」と判断しています。

という訳でクルマの価格は最終的に相場で決まります。相場とは需要と供給です。そのクルマが豊富にあり、求める人が少なければ当然価格は低くなります。

逆に球数が少なく、需要が多い場合は価格は高くなります。


査定士である同僚のあるある話なのですが、売る人から「ディーラーで整備して、毎週洗車して、大事に乗っていたから価格は上がるんだよね?」と言われるのが大いにあるそうです。

実はこれらの要素は買取価格的には無意味です。走行距離が少なく高年式のクルマであれば大抵高く売れます。


友人の話でふと思った|情報を知らないと足元を見られる

クルマ仲間と買取価格について話をした出来事です。彼のクルマは市場では流通が少ない車種。
どうやら最近飛び石を食らってしまい、ボディーに傷がついてしまったようです。


本人は査定額を非常に心配しており、大金を払って修理するかを検討していました。


僕はすぐに「小さな傷は評価に影響ないよ」とフォローしました(納得するかは本人次第)。


この時、僕が思ったのは「正しい情報を知らないと相手に足元を見られる」かもしれないということ。ちょっとした傷は査定に影響しませんが、査定士にあえて申告することで査定士としては「カモだ。減額のきっかけになる」と判断するかもしれません。


と言うのも、査定士は安く買って高く売るのが仕事。その差分が自分の評価に繋がります。


補足:「なぜ傷が査定に響かないか」ですが、小売りの場合、納車時にその傷を修理することで売上に繋がる場合があるためです。あくまでも一例なので傷の程度によっては査定にマイナスになる場合もあります。悪しからず…

直近の中古車市場について|インフレ継続

最近は新車の納車が遅れる事例が目立ちます。半導体不足などが原因と言われています。

いわゆるインフレ状態です。欲しいものが手に入らない=インフレです。


新車不足は中古車市場にも影響します。新車が少ない→下取に流れる車が減る→中古車の球数が少ない→中古車の価格上昇という流れです。


一例ですとトヨタ自動車のシエンタやプリウス、クラウン、ランドクルーザー。いずれも新車ですと受注から納車まで半年や数年もかかる場合があります。

それだけ需要があるにもかかわらず供給が少ないのでそのクルマの価値が上がります。実際に新車価格を上回る販売価格で中古車販売店に並んでいる事例がありますね。

これはまさにクルマの価格は「走行距離と年式」が基準であり「値段は相場で決まる」につきます。



2020年のコロナ後から様々な物価が上昇しています。新車の供給不足はそんな簡単に解消するとは思えず、しばらくは中古車市場はインフレ継続になると見込んでいます(個人による無意味で勝手な想像ですよ!)。



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